近年新しいプロモーション手法として注目が集まるコンテンツマーケティングですが、具体的にはどのような成功事例があるのでしょうか?
ここでは、いくつかの成功事例をご紹介します。
そしてその事例を元に、日本で成功するコンテンツマーケティングについて、ポイントをまとめてみましょう。
BtoBの成功事例
日本で成功しているコンテンツマーケティングは、BtoBが先駆け的存在です。
まずは、そんな日本で成功したBtoBのコンテンツマーケティングの事例をご紹介しましょう。
日本電気株式会社(NEC)
NECは「WISDOM」というビジネスポータルサイトを運営しています。
NECの課題として、NEC製品の情報を必要とするユーザー以外との接点がなく、潜在顧客を取り込めていませんでした。
それを解決するために、ビジネスに関する様々な情報を集めたポータルサイトを運営することで、将来の顧客になりうるユーザーを集めることに成功しました。
成果としては、メールマガジンの購読者数70マン人を達成し、その効果はメディア換算で数億円にも上ります。
株式会社キーエンス
https://www.keyence.co.jp/ss/products/autoid/codereader/
キーエンスは、自動車や半導体、電子機器、通信などをはじめとする幅広い分野の製造業において、国内でも20万社以上の企業に測定機器や解析機器などを提供している企業です。
キーエンスはオウンドメディアとして「バーコード講座」を開設しています。
この講座では、バーコードの原理や選び方について詳しく発信されています。
さらにバーコードに関する記事やコンテンツ、無料でダウンロードできる資料まで充実した内容となっており、キーエンスの専門性をアピールすることができるメディアになっています。
更には、潜在顧客の掘り起こし効果にもつながっています。
株式会社テリロジー
http://cloudtriage.terilogy.com/
テリロジーは1989年設立の会社で、海外のハードウェアやフトウェアの輸入販売を中心に展開しています。
また、ネットワークやセキュリティー上の問題を分析し、クライアントの課題を解決するための技術やサービスを提供しています。
テリロジーでは従来、広告や展示会を主なプロモーションとして採用していましたが、思ったように費用対効果が上がっていませんでした。
コンテンツマーケティングとしてオウンドメディアを導入したことで、問い合わせ件数を導入前の3倍に増やすことが可能になりました。
株式会社サイダス
サイダスではクラウドベースの人材プラットフォーム「CYDAS.com」を展開しています。
以前は競合他社に比べて、情報発信に課題がありました。
その新たなプロモーション戦略として、コンテンツマーケティングを導入し、積極的にコンテンツを発信しました。
その結果、オウンドメディア経由の問い合わせは25%も増加し、更に資料ダウンロードの上位を占めるようになりました。
株式会社デジタルスタジオ
デジタルスタジオでは海外向けのEC構築プラットフォームを提供しています。
Live Commerceというブログでは、まだ認知度が低いサービスに関して、様々な角度から記事として紹介しています。
その結果、見込み客を集客することに成功し、メルマガ購読、サービス試用へつながっています。
このようにコンテンツマーケティングを導入した結果、広告への依存度が下がり、顧客獲得単価が大きく改善しました。
BtoCの成功事例
次に、日本国内のBtoCの成功事例をご紹介しましょう。
オーマイグラス株式会社
https://www.ohmyglasses.co.jp/
以前は、メガネはインターネットでは売れないと思われていました。
それを切り開いたのが、オーマイグラスです。
メガネのインターネット通販という新しい市場を実現するために、メガネをテーマにしたライフスタイル誌をオンラインで刊行しました。
記事を見るために訪問したユーザーに対して、自然な流れでメガネを販売するECサイトの存在に気付いてもらえるよう誘導しています。
そして、製品の購入に結びつくような工夫をいたるところにちりばめています。
その結果、月間購読者数は17万人、ECサイト訪問者数は32万人を達成しました。
株式会社クールミント
クールミントはこだわりの育児用品を販売しているECサイトです。
従来はリスティング広告やFacebook広告から商品購入につながるような手法をとっていました。
この手法では、売れる商品が限られており、中には販売に苦戦する商品もありました。
特に海外で最先端の人気製品をいち早く販売しているにもかかわらず、従来型の広告では売れないことが多かったようです。
そこで、コンテンツマーケティングを取り入れ、週に3本のペースで子育て中の両親が読みたくなるような記事を掲載しました。
その結果、売り上げだけでなく注目のECサイトとして様々な育児雑誌はファッション雑誌でも取り上げられることが増えました。
更には、自社ブランドを確立するまでに成立しました。
コンテンツマーケティングの成果としては、ユニークユーザー数10倍、PV数4倍を達成しました。
一般社団法人ウェブベルマーク協会
一般社団法人ウェブベルマーク協会は、被災校支援を目的として、ベルマーク教育助成財団、朝日新聞社をはじめとした5社により2013年に設立されました。
元々は広告による周知をシュトしていましたが、限界を感じていました。
コンテンツマーケティングとしてオウンドメディアの運営を始め、毎月25本程度のコンテンツを発信しています。
その結果、サイトへの流入は運営前と比べておよそ6倍に増加しています。
ナイス賃貸情報株式会社
ナイス賃貸は、ナイスの素敵な街探しというサイトを運営しています。
このサイトでは、物件のある地域で行われるイベントや様々な施設情報などを確認することができます。
物件の情報だけでなく、住む物件を決めるときに重要となる地域の様々な情報を発信することで、見込み顧客との信頼性を高めることに成功しています。
その結果サイト経由の問い合わせも増加しました。
コンテンツマーケティングを成功に導くポイント
コンテンツマーケディングを成功に導くには、ただやみくもにコンテンツを作成するだけでは不十分です。
では、どのようなポイントがあるのでしょうか?
自社の商品やサービスのターゲット層を明確にする
見込み客や潜在顧客を引き付けるコンテンツを作成するためには、まず自社の商品やサービスの位置づけについて的確に把握しておく必要があります。
どのような層が利用しているのか、自社の商品やサービスを必要としている、将来必要とする可能性のあるユーザーは、どのような層なのか、課題や知りたい情報は何かなど、しっかりと分析しましょう。
その上で、ターゲット層が必要とする情報を、良質なコンテンツとして発信する必要があります。
定期的にコンテンツを発信する
コンテンツマーケティングを成功させるためには、定期的にコンテンツを発信する必要があります。
例えばコンテンツマーケティングとして、記事などのコンテンツを集めたサイトを運営する場合、一定のコンテンツが集まれば更新をやめてしまう事例があります。
確かに、一度作成したコンテンツは削除しない限りインターネット上に掲載され、それだけでも一定の効果は見込めます。
ですが、コンテンツマーケティングのポイントは、潜在顧客をつかみ、その潜在顧客が見込み客、最終的には購入してもらえるユーザーになるまで、長期にわたり信頼性を築くことです。
そのためには、情報が更新されなければ、一度サイトを訪れただけで潜在顧客が離れて行ってしまいます。
長期にわたってサイトを訪れてもらったり、メルマガを購読してもらったりするためにも、新しいコンテンツを継続して定期的に配信することはとても重要です。
効果のあるコンテンツを分析する
コンテンツマーケティングを成功に導くためには、コンテンツの内容がとても重要です。
そのためには、一度配信したコンテンツに関して、効果を分析する必要があります。
どのようなコンテンツからアクションが起こったのか、人気のあるコンテンツはどれか、他のコンテンツへのサイト内移動が行われやすいコンテンツはどれか、など、様々な角度から分析しましょう。
そして、その結果を元に、効果のあるカテゴリのコンテンツをどんどん充実させていきましょう。
効果がでるまで継続する
コンテンツマーケティングは、良質なコンテンツを1つ作成すれば始めることができます。
ですが、コンスタントにユーザーを集め、効果を上げるためには、たくさんのコンテンツでサイトを充実させる必要があります。
いくら良質なコンテンツを作成しても、コンテンツの量がある程度のボリュームになるまではなかなか効果が出ないこともあります。
コンテンツマーケティングを成功に導くためには、すぐにあきらめるのではなく、効果が出るまで継続することが大切です。
また、そのためには、最終的なサイト像やメルマガの流れなどを想定して、計画的にコンテンツを作成するようにしましょう。
コンテンツマーケティングにより期待できる効果
コンテンツマーケティングを導入することで、様々な効果が期待できます。
広告宣伝費の削減
コンテンツマーケティングのメリットとして、一度作ったコンテンツを蓄積できるというのがあります。
そのため、一度コンテンツを作成すると、現在だけでなく将来長期的に活用することが可能です。
コンテンツは増えれば増えるほど、サイトが充実し相乗効果が増していきます。
その結果、長期間にわたり広告費を削減することが可能になるのです。
信頼を構築できる
BtoBにしてもBtoCにしても、クライアントやユーザーに信頼してもらうことが取引の始まりや継続につながります。
良質なコンテンツを多数掲載したサイトがあるだけで、会社が専門家として認識され、信頼を獲得することができます。
更には、情報を更新・追加し続けることで、信頼性をより高めていくことができるのです。
愛着を高めることができる
特に日本人に強い心理として、情報を提供してもらえるとそれに対してお返ししたくなるというのがあります。
つまり、有益な情報を提供し続けることで、商品を購入してもらえたり、何らかのアクションを起こしてもらえたりする可能性がどんどん高まっていくのです。
その結果、競合他社と比較されない、自社だけの顧客が生まれるのです。
情報を自然に拡散できる
現代のユーザーは、広告などの一方的に発信される押し付けの情報をシャットアウトする傾向にあります。
コンテンツマーケティングを活用し、有益な情報をコンテンツとして配信することで、情報を探している人に検索エンジンやSNSを通じて自然に届けることができます。
更にSNSにより、有益な情報は共有されていくため、一度発信した情報が一人でどんどん拡散されていく可能性を秘めているのです。
まとめ
成功事例を見てもわかるように、コンテンツマーケティングで成功している企業は、自社の潜在顧客が必要としている情報を的確に把握しています。
従来型の広告にしてもコンテンツマーケティングにしても、自社の商品やサービスと、そのターゲット層に関する分析をできているかどうかが、成功のカギとなるのです。
コンテンツマーケティングが流行っているからと言って、手あたり次第コンテンツを作成しても成功は遠のいてしまいます。
コンテンツマーケディングを始める前に、まずは、競合他社のサイトやコンテンツマーケティングの現状なども参考に、しっかりと道筋を立ててみてはいかがでしょうか。
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