「なんて下世話な・・・ 」
よく耳にする表現ですが、正しく使えている人はほとんどいないのではないかと思います。
下世話の本来の意味は、 、、
- 下品
- 品性下劣
・・・ではありません。
本来の意味は、「一般人の間でよく交わされる会話や言葉、表現」の事を指します。
実際に使われている下品または品性下劣と言った意味と、本来の意味にズレが生じているわけですが、友達同士の会話ならまだしも、目上の人間との会話中や、正式な場での誤使用は社会人としてNGです。
このように大人になってからも実際の意味とは異なる日本語の使い方をしている人は多く、上記で解説した「下世話」についても「本当はそういう意味なんだ」と気付かされた方もいたんじゃないでしょうか?
今回は、そんな間違いやすい日本語とその正しい意味を一挙に紹介してきます。
間違いやすい日本語7選
冒頭で例として挙げた「下世話」のように、世間では間違って使用されている日本語が数多く存在しますが、その中でもみなさんが普段の生活でよく使っている間違いやすい日本語を7つ選んでみました。あなたはいくつ正しく使えていますか?
敷居が高い
間違って使用している用語でよく例としてでてくる「敷居が高い」ですが、いまだに間違って使用している人を見かけます。
あそこは高級なお店だから僕には敷居が高いよ
のように、「自分にとっては分不相応である」といった使い方をする方を見かけますがこれはよくある勘違い。敷居が高いとは義理を欠いたり、迷惑をかけてしまったことでその人の家へ行きにくくなることを指します。
よって
何度も連絡を無視していた友人に会いに行くのは敷居が高い
などが正しい使い方です。
煮詰まる
一般的に使われている「煮詰まる」は「行き詰まる」または「物事が進展しない」のようなスランプに近い状態、うまくいかなくなった状態を表現する際に使われていますが、本来の意味は「結論が出る段階まで近づいている状態」の事を指します。
そのため
すでに会議は煮詰まっている
のようにポジティブな意味で活用します。
姑息
よく「卑怯」や「狡猾」などとセットで使用される表現ですが、姑息の本来の意味は、物事を問題を解決せずに「その場しのぎの対応をしてやり過ごす」です。これは意外と知られておらず、7割超の日本人が姑息=卑怯または狡猾といった認識を持っています。
本来、姑息自体に悪い意味はないので、誰かに姑息だと言われても傷つく必要はありません。
正しく使うなら
仕事量を人手だけでなんとかするのは姑息な手段である
爆笑する
一般的な認識では、「お腹がよじれるほど笑いまくる状態」ですが
本来は、「大勢の人間が一勢に笑う事」を指します。
「昨日、親戚のみんなで集まってさ、吉本新喜劇を見て爆笑だったよ〜」が正解です。ひとりでテレビを見て笑いころげる事や、友達と二人で話していて、ツボに入り笑いが止まらなくなるという状態を、「爆笑する」とは言いません。
失笑する
また、「爆笑する」ほど使用頻度が多くありませんが、「失笑する」という表現も間違って使用されている事が多いです。
失笑するの一般的な解釈は、「人を見下した態度で嘲笑する」というニュアンスですが、本来の意味は、「笑いを我慢したいのに、こらえきれない状態」の事を指します。
一般的に使われている「爆笑する」に意味合いが近いのはむしろ「失笑する」でしょう。
ハッカー
コンピュータープログラムを改ざんし、ウィルスを感染させたり、遠隔操作する・・・・・・と言った悪いイメージばかりが定着している「ハッカー」ですが、本来の意味は、「IT関連に強い人(パソコンやアプリケーション、インターネットなど)」です。
ただ、IT関連の言葉の定義は、まだ歴史が浅いため、将来的には変更される可能性があります。このまま、一般的に使用されているハッカーの意味が定着していくことで、そのまま「ITのスキルを用いて悪行を行う人」という意味で使用されていく可能性もあります。
絵に描いたような〇〇
絵に描いたような素敵な家族ですね~
と言う使い方をしている人が多いと思いますが、これは正しくありません。一般的に使われている意味合いは、「理想的な」「非現実的な」と言った感じですが、本来の意味は真逆の「典型的な」という意味です。
普段何となく使っている表現も、本来の意味を知る事で、ヒヤッとする事が多いのではないでしょうか?今回紹介した日本語の他にも誰にも指摘されることなく誤用しているものは少なくないと思います。
間違いやすい丁寧語・敬語・謙譲語
日本語の美しい文化として挙げられる代表的なものの中に、丁寧語・敬語(尊敬語)・謙譲語の3つがあります。私生活だけでなく、仕事や目上の人間と話をする際、必要となってくるので、覚えておいて損はありません。
状況によっては、相手を不快にさせてしまう事もあるので、間違いやすい日本語と同様、こちらも頭に入れておきましょう。
間違いやすい丁寧語
丁寧語とは、敬語のひとつに分類され、「です」「ます」「ございます」「お手洗い」「お仕事」といった丁寧な言い回しを用いた表現の事を指します。
丁寧語は、2種類に分けられ、通常の「丁寧語」と「美化語」があります。以下で詳しく見ていきましょう。
丁寧語
「そうです」は丁寧語としては間違いではありませんが、「左様でございます」の方がより丁寧な表現となり、相手に対し丁寧な態度を持っている事がより伝わる表現となります。
基本的に「です」「ます」などの助動詞を用いて、より丁寧な心を持って接するための表現が、丁寧語です。
よく上司や目上の人に対し「ご苦労さまです」と言う人がいますが、これは間違いです。「お疲れ様です」が正解です。尊敬の意味を込め、ねぎらいの気持ちを表現しているのに、使い方を間違えば相手をムッとさせてしまう事もありますので注意しましょう。
ご苦労様という日本語は、目上の人間が下のものに使用する言葉なので、目上の人間に対して使ってしまうと、バカにしているととられることもあります。
2015年の11月に、大阪府の投票管理者が、投票に来た有権者に「ご苦労さん」と声をかけたところ、その有権者の男性が激怒し、投票管理者に平手打ちしたという事件がありました。
「お疲れ様です」という表現には上下関係がないため、誰に対しても使用できる言葉です。覚えておきましょう。
また、地位や年齢が上なのに、下の人間にも丁寧語を使える人には、品位と人望を集まります。使用して損する事はないので、ぜひ活用していきましょう。
「了解しました」もフランクの表現となりアウトです。「承知しました」と言い換えるようにしましょう。
美化語
美化語は、言葉の前に「お」や「ご」を付け加える事で、表現を上品にする言い方です。お仕事やお弁当、ご膳、ご挨拶などがこれに該当します。
美化語は、日本語のみに使用し、カタカナや外来語には使用しません。他にも、不吉なもの、悪いニュース(天災や事件など)、動物や、使用して不自然になる言葉には使いません。
また、元々尊敬や丁寧の意味が含まれている言葉にも使用しません。例として、「先輩」「上司」などには使われません。
間違いやすい敬語(尊敬語)
尊敬語は、相手に尊敬の念を払う表現方法で、自分に対して使用する事は出来ません。その対象は、人だけでなくその人の持ち物や、動作、状態にも使用する事が出来ます。もちろん、相手に関係している人間に使用する事も出来ます。
二重敬語に注意
ビジネスマナーとして、敬語の重複は使用すべきではありません。例えば、社長+さま=「社長さま」社長だけで敬意が伝わります。ポイントしては、シンプルに敬意を表すよう心がけます。敬語の重複はしつこく聞こえる場合があるからです。
間違いやすい謙譲語
謙譲語は通常の「謙譲語」と「丁重語」の2種類に分類されます。尊敬語との差別化も間違いやすいポイントなので注意しましょう。
謙譲語
謙譲語とは、相手よりも自分をへり下った表現をする事で、相手を立てる事が出来ます。「お迎えする」「申し上げる」などが一般的です。その動作を受ける相手が上であると表現するのが謙譲語です。丁重語と混同しないように注意が必要です。
丁重語
必ず「ます」で終わらせる事が丁重語の特徴で、自分を含め、誰に対しても使用する事が出来ます。向かう先に敬意を払う謙譲語に対し、丁重語は、聞き手に直接敬意を払う点が異なります。聞き手が上であるという表現が丁重語です。
少しずつ使用してものにしていく
間違いやすい日本語はたくさんあるので、一気に詰め込むというやり方ではなく、少しずつ覚えていくのがベストです。実際の会話では、気にし過ぎると何も話せなくなってしまうので、トライ&エラーで覚えていくと良いでしょう。言葉や表現から形式まで、日本語とはいかに細やかで繊細な言語であるかがわかります。日本語を知る事で、自身の品格を高める事も可能です。
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