ライティング

著作権侵害してない?ライターも知っておく必要のある法律の知識

著作権の侵害で激怒。◯◯さん、刑事告訴へ・・・と言ったニュースをよく見かけます。「知りませんでした」「故意に行った事ではありません」「つい魔が差してしまい・・・」などと涙ながらにインタビューを受けている有名人も過去にいました。

実はこれらの問題は、何も有名人や特別な人間に限った事ではなく、誰にでも起こりうる事なのです。特にウェブライターのような、情報をキュレーションして自分の言葉に置き換えて文章を作成するという作業を行っている人たちには、必ず目を通していただきたい内容です。

今回は、「著作権侵害してない?ライターも知っておく必要のある法律の知識」というテーマでお話していきたいと思います。

著作権とは?

著作権とは、知的財産権のひとつで、形を持たない無体財産権(または無形固定産)の事です。英語では、コピーライトと表現される事もあります。著作権という権利ほど、広く知られているのにその内容については知られていない法律はないかもしれません。

ざっくり言うと、著作権法とは「他人が作ったものをコピーしたり無断使用してはいけません」という法律なのですが、芸術、音楽、文章、映画やドラマなど分野は問わず、人が自分の中にある感情や表現したい何かを作品として残したものを「著作物」と呼び、それを制作した人(または会社)を著作者と言います。

著作権制度は、文化を発展させるために施工された制度で、それを保護するのが著作権法という法律です。著作物を利用するには、著作者に事前に許可を得る必要があります。

著作権の侵害という言葉はワンセットで耳にしますが、著作物を無断で使用したり、コピーすると刑罰の対象となり、著作権侵害により相手が被った被害が大きく、悪質なものと判断された場合は、懲役刑が課せられる事さえあります。

具体的には、作者の気持ちを傷つけるような行為や、無断で公の場所(インターネット上へのアップロードや講演での使用など)で使用する事などが挙げられます。

また、著作者に了解を得ずに、内容を少し変更して販売したり、海賊版を複製販売・公開したりする事も著作権法違反で、法律違反の刑罰対象となります。

著作権は、少し特徴的な権利で、著作物とされる作品を制作した時点で、自動的に発行される権利です。自分が完全オリジナルで作成したものを、他の人が先に作成し、著作権を持っているという可能性もゼロではありませんから、文化庁で著作権登録をしておくと著作権問題に巻き込まれる事はなくなり安心です。

実は二種類ある著作権

著作権法は、厳密に言うと二つに分類されます。

ひとつ目が、著作者人格権と呼ばれる著作者を保護する権利の事で、著作物と異なり、こちらは買い取ったり、他人へ譲る事などは出来ません。

著作者人格権は、原則、著作者が生きている間のみ保護される事が法律で定められていますが、亡くなった後も勝手に使用する事は禁止されています。

ふたつ目は、著作権(財産権)(著作財産権と呼ばれる事もあります)で、商売や営利目的で使用する際に対象となります。著作権(財産権)は、法律上では著作者の没後50年が経過すれば、失効する事になっています。

権利が失効した後の著作権の譲渡先は、ほとんどは出版社などになります。

著作財産権の詳細は下記にリストしますので目を通しておいてください。

  • 複製権著作物をコピー&複製してはいけません。
  • 上演権&演奏権コンサートや舞台などの著作権を持った作品を公開・上演してはいけません。
  • 上映権著作物の映像(映画・ドラマなど)上映を公に行ってはいけません。
  • 公衆送信権著作物を電波やインターネットなどを使用して送信してはいけません。
  • 口述権朗読会などの公の場所で、言語系著作物を公開してはいけません。
  • 展示権美術品をはじめとした著作物の公開展示をしてはいけません。
  • 頒布権映画の著作物を複製し頒布してはいけません。
  • 譲渡権著作物を無断で複製し、他人に譲ってはいけません。
  • 貸与権著作物を複製し、貸してはいけません。
  • 翻訳権&翻案権著作物を無断で他の言語に翻訳し、使用してはいけません。

著作権(財産権)は、主に以上の10種類に分類されます。(厳密に言うと、まだありますが、複雑になるので、ここでは割愛させていただきます)これらは、著作者に許可を取れば行っても良い事になっています。

著作物の詳細

下記で、著作物の詳細について触れていきたいと思います。どのようなものが、著作物に該当するのか?知っておいた方が良いでしょう。

  • 言葉で表現された作品(小説・論文・ドラマなどのシナリオ&脚本・文章・文章の構成や特徴的な表現、言葉も著作物に該当します)
  • 音楽(楽曲・歌詞・類似したフレーズなど)
  • 建造物(宮殿や芸術性の高い&個性が特化した建築物に限る。個人の住居などは著作物には該当しません)
  • 芸術(写真・絵画をはじめとした芸術作品など)
  • 映像(映画・ドラマ・アニメなど)
  • 娯楽(ゲームなどをはじめとするエンターテインメントものも著作物に該当します)
  • 伝統芸能やダンス(日本舞踊・ダンスまたはその振り付けなど)
  • 学術的なもの(地図・図表・模型など)
  • プログラム(コンピュータープログラムも著作物に該当します)

著作権を侵害すると具体的にどのような罰則があるのか?

著作権を侵害すると、以下のような罰則があります。

  • 侵害行為の差止請求
  • 損害賠償の請求
  • 不当利得の返還請求
  • 名誉回復をはじめとした措置の請求

また、著作権フリーのものに限り、著作者の許可なく使用する事は可能です。この場合は、法律で罰せられる事はありません。

罰則の詳細

著作権法違反は、立派な犯罪です。みんなやってるから、昔は大丈夫だったから・・・などという理由で行い、著作者の心を傷つけてしまうと、告訴され処罰されます。

  • 著作権
  • 著作隣接権
  • 出版権

この3つを侵害した場合は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金となります。

  • 著作者人格権
  • 実演家人格権

これらを侵害した場合は、5年以下の懲役か、500万円以下の罰金となります。上記は個人に対する罰則となりますが、仮に法人がこれらの違法行為を行った場合は、3億円以下の罰金となります。

よく違法に複製したソフトウェアなどを使用している会社があれば報告してくださいなどの広告を目にしますが、これらは親告罪によってのみ罰せられるので、著作者が訴えを起こさない限りは罰せられないという特徴を持っています。

過去にファイル共有ソフトなどを使って無断でアップロードされたファイルをダウンロードするのが話題となりましたが、現在は法律が改定(H24年10月に改定)され、これも違法となりました。

2年以下200万円以下の罰金となります。以前は違法ではなかった行為も、法律の改定により罰せられる事になったわかりやすい事例です。

ケースによっては罰金と懲役両方が課せられる事もあります。

知らないうちに著作権を侵害してしまう前に知識を身に着けよう

細かく見ていくと、いろいろな種類がある「著作権」ですが、要は「人のものを勝手に使っちゃいけません」という事です。常識の範囲内であれば・・・という表現を使う人がいますが、常識や法律は、時代によって変化していくものなので、その時代の常識や法律を把握しておく必要があります。

デジタル化やインターネットの普及に伴い、著作権を強化しなければ著作物を守れなくなりました。上記で挙げた内容も、変更・改定される可能性があるので、常に新しい情報を取り入れ、著作権を侵害しないよう心がけましょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP